熟成された好みの強み

非常になめらかな質感のものとざっくりした粗い風合いものとを比べれば、後者の方が好きです。たとえば「粗挽き胡椒」。食感や薫り、辛味にパンチがあり、なかなか旨い。豆腐もなめらかな「絹ごし」よりも「木綿」の方がやはり旨いと思います。時計もアナログ式よりデジタル式の方が時間を“カウント”している感覚がヴィジュアル的に面白い。(映画の時限爆弾がアナログ式なら危機迫るドキドキ感は半減しますよね)サッカーも南米の上手く細やかなボールタッチの個人技が光るスタイルや、ドイツのシステマティックなゲームも好きですが、「とりあえず前線に放り込んでおけ」的なイングランドのサッカーがステキです。ラグビーのオールブラックス(ニュージーランド代表)が国際試合の前に舞う土着民の「ハカ(war cry )」ダンスの荒々しさにはいつも圧倒させられます。
さて、液晶ディスプレイの世界も高解像度でシャープな美しい映像を表示させることができる「4Kディスプレイ」への発展など、目を見張る技術革新が進んでいますが、「Forever21」がイベントで披露した低解像度スクリーンはどんな精細できめの細かいデジタルスクリーンよりもざっくりした風合いで存在感を示しました。このスクリーン、よく見ると有機発光ダイオードやLEDではなく、モーターで駆動されるカラフルな「布」を使用しているのです。解像度はわずか80×80ピクセルながら驚くなかれ、6400個の糸巻き、11kmの長さの布、そして何千ものモーターやギアで構成されいます。この糸巻きスクリーン、イベントではInstagramの写真をアップロードするとその画像がうつしだされ、ローテクながらちゃっかりウェブと連動しているところがミソ。「BREAK FAST」というクリエイティブ集団によるものですが、彼らの仕事は彼らの「好み」から発しているものです。「好き」=「数寄」。茶の湯の文化を花咲かせた近世のトップクリエイター、千利休や古田織部は「数寄者」でもありました。好みを共有し合い、競争し合い、熟成させていく。巷にあふれるウェブサイトやSNSも程度の差こそあれそのような風潮にありそれらを求める輩がうごめいています。
ちなみにForever21は衣料ブランドメーカーなので「糸+布」のコンセプトなのでしょう。アイデアもシンプルでよろしい。
竹内